「くすり」ができるまで

病院で処方される医薬品や薬局で販売される薬は、化学合成や植物、土壌中の菌、海洋生物などの物質から作られています。薬の素になる物質の発見から、10〜15年という長い時間と多くの段階の試験を経て、病気への有効性(効き目)や人への安全性(副作用)が確認されて患者さんの手に届きます。
様々な物質の発見【探索】から薬になるのは、一万分の一の確率といわれています。

最初は動物(ネズミ・ウサギ・イヌなど)を使って安全性や有効性を調べます。動物試験で人への有効性や安全性が予測されるものが「くすりの候補」として、健康な人や患者さんの協力によって「くすり」となります。

(くすりの物質の探索)
基礎研究2〜3年
前臨床試験
3〜5年
臨床試験(治験)
3〜7年
申請・承認手続
2〜3年
新薬誕生
くすりができるまで
治験とは

「くすり」を創る過程で動物試験などを経て人に対して有効性(効き目)や安全性(副作用)が予測される「くすりの候補」の試験研究の最終段階で、健康な人や患者さんの協力で行なわれる臨床試験が「治験」と呼ばれています。
治験の結果、厚生労働省(国)で承認されたものが「くすり」として、病院で使われる治療薬や薬局の店頭などで市販されます。いま病院で使われている薬も、過去に多くの患者さんの協力で治験が行なわれた結果承認されたものです。
臨床試験(治験)にも幾つかのステップがあり、各々のステップで国の承認が必要です。

第一ステップ
【フェーズT】
健康な成人
第二ステップ
【フェーズU】
少数の患者
第三ステップ
【フェーズV】
多数の患者
治験のステップ
安全性と体内動態の確認
有効性・安全性・投与量使用法などを検討
既存薬・プラセボとの比較研究により有効性・安全性を確認

治験は、人が使用する「くすり」として倫理性、科学性及び信頼性の確保のために、「薬事法」というくすり全般に関する法律と、これに基づいた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP=Good Clinical Practice)の厳しい基準を遵守して行なわれます。
治験は、一定の要件が整った病院で健康な人や患者さんの協力のもとに、医師が行なうものです。
治験を実施するために決められている規則(GCP)の、主な特徴は下記の通りです。

■GCPの主な特徴
1. 国への届出 製薬会社は、治験を実施する医師が合意した「治験実施計画書」(服薬量・服薬回数・期間・検査内容などが記載されている)を厚生労働省に提出します。
2. 事前審査 病院で治験を実施するにあたり、「治験審査委員会」で事前に審査を受けます。審査では、治験に参加される患者の人権と福祉を守って、安全性・効果を科学的に見る試験となっているかどうか審査します。
審査委員には、実施予定の治験に携わらない医師、薬剤師のほか、医療を専門としない非専門家の委員や、医療機関と利害関係を有しない外部委員が必ず参加することになっています。この審査で適否及び継続、中止などが決められます。
3. 患者さんの同意 治験に協力して頂く患者さんに対して治験の目的、方法、期待される効果、予測される副作用などの不利益、治験に参加されない場合の治療法などを文書で説明し、文書による同意を得なければなりません(同意なしには治験はできません)。
4. 副作用の国への報告 治験中に発生した重大な副作用は、治験を依頼した製薬会社から国に報告され、治験に参加している患者さんの安全を確保するために治験計画の見直しなどが行なわれます。
5. 適正進行確認 治験を依頼した製薬会社の担当者(モニター)は、適時治験実施医療機関を訪問し、治験がGCPを遵守し、治験計画書に沿って実施されているか進行確認を行ないます。
以上は治験に関するGCPの基準概要ですが、実施運営上は更に詳細な基準で運営されています。